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つむじ風食堂の夜 (ちくま文庫)

吉田 篤弘 筑摩書房 2005-11

by ヨメレバ

ドイツの宰相ビスマルクの言葉によると「政治とは妥協の芸術」なんだそうです。

もう少し正確に言うと、Politikとは die Kunst des Möglichen und ihre Tugend der positive Kompromiß なんだそうです。ドイツ語はとんと忘れてしまいましたが、ためしにこの格言を訳すなら、政治とは「可能性の芸術であり、肯定的な妥協の産物である」とでもなるでしょう(間違っていたら教えてください)。

この言葉を聞いて芸術家がなんと思うかは分かりませんが、もし人生にも自分と誰かとの、あるいは自分と自分自身との政治の側面があるなら、人生もまたある意味では妥協の芸術なんでしょうか?

もしかしたら、年を重ねるということがそのまま芸術なのかもしれません。

どこともしれない不思議な街、月舟町での人々の交錯を描くこの小説にも、そんな政治の一場面が現れます。

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人間の土地 (新潮文庫)

サン=テグジュペリ 新潮社 1955-04

by ヨメレバ

表紙の絵は宮崎駿氏による豪華な文庫本です。宮崎氏の飛行機好きは有名ですし、サン=テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupéry, 1900-1944)を愛読されているのも自然でしょう。作品『紅の豚』や『天空の城ラピュタ』の描写には飛行機への愛・飛ぶことがひとつの冒険だった時代への愛が感じられます。

サン=テグジュペリの時代、飛ぶことは今よりもはるかに危険でした。GPSや航空支援システムなどはまったくなく、肉眼で地上の目印を頼りに飛ぶ時代。夜となると灯りだけが頼りであり、事故の確率は今とは比べ物にならないものでした。『星の王子さま(Le petit Prince, 1943)』とならび代表作とされる『人間の土地(Terre de Hommes, 1939)』には、自身なんども死の危険と隣り合わせの飛行を繰り返し、最期も空で迎えたサン=テグジュペリならではのエピソードが散りばめられています。

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