— ushilog

LIVING STEREO 60 CD Collection

by カエレバ

“LIVING STEREO 60 CD Collection”を5月くらいから聴き始めてひと通り聴き終わりました。
このボックスはBMGを経て今はソニー傘下となった旧RCAが出した”LIVING STEREO”シリーズの音源が60枚入って8,000円台とお買い得なボックスです。
録音年代はおおよそ50年代末から60年台前半ですが、名演とされるものも多く入っており、手持ちの少ない自分には助かるボックスでした。
ちなみに冒頭の写真はRCAの有名な犬です。余談ですがこの犬、ニッパーというそうです。HMVってHis Master’s Voiceの略だったんですね。これを調べるまで知りませんでした。

さて、こうしたボックスに入っていないとなかなか触れない曲もありました。そんな曲や発見のあった録音をいくつかピックアップしてみます。なお以下のCDの画像は個別CDにリンクしていますが、ボックスに入っている音源はSACDではないのでご注意を。

ライナー指揮 シカゴ交響楽団 / バルトーク 『管弦楽のための協奏曲』『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』『ハンガリーの風景』

ライナーが曲の成立にも関わった 『管弦楽のための協奏曲』、じっくり聴いたのは初めてかもしれません。金管の強さが伝統の楽団らしく「対の遊び(Giuoco delle coppie)」のコラールが流麗。『ハンガリーの風景』は初めて聴きましたが、「村での夕べ(トランシルヴァニアの夕べ)」の素朴な感じが素敵です。リズム感と和音の流れがどこか同じバルトークの『ルーマニア民俗舞曲』とも通じるものがあるなと。

ハイフェッツ、ウォルター・ヘンドル指揮シカゴ交響楽団 / シベリウス、グラズノフ、プロコフィエフ協奏曲集

ロマン派以降は未開拓な曲とジャンルが多く、ヴァイオリン協奏曲もそのひとつ。というわけでシベリウスは初めて聴きましたが、ファンが多いのもうなずける佳曲でした。澄んだ冬空のような出だしから始まり、降りしきる雪の中に消えていくような終わりの第一楽章がいいですね。どうもメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲がピンと来なかったので嬉しい発見です。

ミュンシュ指揮ボストン交響楽団 / ボレロ、ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲、他

おまけ的に入っているドビュッシーの『管弦楽のための映像』が発見でした。ドビュッシーは名作とされる『海』『牧神の午後への前奏曲』を聴いても、とくに盛り上がりもなく終わる曲ばかりで途方に暮れていました。独自の世界観はなんとなく感じられるのですが……。しかしこの曲はまるでラヴェルのような対位法と形式性、そして管弦楽の色彩感が揃っており「ドビュッシーがこんな曲を書くなんて!」(失礼)といい意味で驚きでした。

ライナー指揮 シカゴ交響楽団 / シェーラザード

『シェーラザード』も久しぶりに聴いたので曲について調べていたら、デュトワ&モントリオール響の演奏を絶賛する記事に当たりました。聴き直したら確かにデュトワすごい!となったので(リンク先記事の第1楽章「ご覧のとおり、Eの直前はスコアに細かな指示がありません。」のあたり)、結果としてこのライナー盤は発見のある演奏でした。
ちなみに該当の箇所、デュトワの演奏は「大波が来るぞー!」と構えて乗り越えたら新しい光景、という趣きですが、こちらのライナーの演奏のほうは後ろからいきなり怒涛の大波が押し寄せております。(笑) デュトワは華麗で調和のとれた演奏ですがライナーは金管が荒々しいこともあり、シェーラザードとシャリーア王の対比がより鮮明、と言えるかもしれません。
デュトワの録音↓

フィードラー指揮 ボストン・ポップス・オーケストラ / ハイファイ・フィードラー

リストの『ラコッツィ行進曲』(原曲はハンガリー狂詩曲第15番)の録音はあまり見ない気がします。有名なベルリオーズのほうの音源はこのボックスにはないですが、作曲された当時は相当人気だったんだろうなあと思わせる二人の編曲です。

マリオ・ランツァ / Mario! at His Best

収録曲中では『フニクリ・フニクラ』が一番有名ですが、驚いたのは収録中のオペレッタ『放浪の王者(The Vagabond King)』中の『放浪者の歌(荒くれ者どもの歌、Song Of The Vagabonds)』。あれあれ、これ『蒲田行進曲』じゃないですか。というわけでちょっとインターネットのソースを元に調べたら以下の経緯のようです。

曲はルドルフ・フリムル(Rudolf Friml, 1879~1972, チェコ -> アメリカ)によるオペレッタ『放浪の王者』(1925)が初出(オペレッタはその後パラマウントで映画化(1930))。堀内敬三の詞で邦画『親父とその子』(1929)の主題歌として採用。主題歌は川崎豊・曽我直子のデュエットとしてリリースされヒット。その後蒲田撮影所の所歌として定着。さらに曲自体は西条八十の歌詞で藤山一郎『希望の船路』(1936)としてもヒット。蒲田の撮影所は閉所となったが、つかこうへいの劇『蒲田行進曲』で採用(1980) -> 映画化(1982)。

なんとも数奇な運命をたどった曲です。こういう不思議な運命の曲を知るのも楽しみの一つですね。

ジュリアン・ブリーム / スパニッシュ・ギターの神髄

アルベニスの『スペイン組曲』、どこかで見た曲名、聴いたことはあるはず……でも曲を忘れていました。でも聴いた瞬間に思い出しました。15年以上前にパソコンで、MIDIで聴いた曲でした。同曲からの収録は『グラナダ』と『伝説(アストゥリアス)』。懐かしい。

ほか、苦手意識の強いR.シュトラウスやマーラー、プッチーニもありました(というか結構なウェイトを占めています)。『蝶々夫人』も『ラ・ボエーム』の全曲盤もがんばって聴いてみましたが、映像も無しではどうも入り込めず、まだ自分には早いようです。^^;
とはいっても『家庭交響曲』『大地の歌』も入っているセットですから、また聴いてみる機会はあるかもしれません。

by カエレバ

photo by: Beverly & Pack
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