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フリッチャイ & ベルリンフィル 『新世界より』

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by カエレバ

ドヴォルザークの『新世界より』はクラシックの入門曲としてとてもポピュラーな曲で、美しい旋律が多くリズム感に溢れるとても楽しい曲です。

私が入門として前に挙げたベルリオーズの『幻想』よりも、交響曲入門にはずっとふさわしいかも……。『幻想』もいい曲ですがは1楽章や3楽章がなかなか骨が折れますし、交響曲としてスタンダードな構成の「新世界」のほうがやはりよいかもしれません。(笑)たとえ難しくてもドヴォルザークつながりで『スラヴ舞曲集』もあることですし。

有名曲ゆえにいわゆる名演・名盤も数多い『新世界より』ですが、今回いくつか演奏を聴き比べてみてフェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン・フィル演奏のものが良かったので紹介します。

今回聴いたのは以下の演奏です。

  • フリッチャイ指揮 ベルリン・フィル(1959)
  • ライナー指揮 シカゴ交響楽団(1957)
  • セル指揮 クリーブランド交響楽団(1959)
  • ケルテス指揮 ウィーン・フィル(1960)

この中ではケルテス&ウィーンフィルのものが比較的有名で「『新世界より』の決定盤」に推す人も多いと思います。じっさい私もよく聴いてきました。

これでもかというティンパニの叩きぶりや管楽器の鳴りっぷりがスカッとする演奏で、それが盛り上がりを大いに刻み上げます。これから『新世界』を聴くぞという人にもお勧めできますし、これはこれでやはり良いと思います。

by カエレバ

ではそのケルテスの名演や他の有名指揮者の演奏に比べてフリッチャイの演奏は何が良いのか?というところですが、なによりもその演奏の「スケールの大きさ」を挙げたいと思います。

ほかの演奏では感じられなかったこの曲のスケールの大きさ、ドヴォルザークがはるか海を越えた新世界アメリカから故郷のボヘミア・チェコへの思いをつづった曲の雄大さが、この演奏からはとてもよく伝わってくるのです。

どの程度違うのか?というところで、試しに各楽章ごとの演奏時間を比べてみました。

  • フリッチャイ 10’04 / 13’59 / 8’18 / 12’06 計 44’27
  • ライナー 8’48 / 12’27 / 7’34 / 10’33 計 39’23
  • セル 8’40 / 12’10 / 7’54 / 10’57 計 39’41
  • ケルテス 9’52 / 11’49 / 7’42 / 11’13 計 40’37

もちろん演奏時間は一尺度にすぎませんし、これで優劣を測ろうというものではありません。つまるところ好みの問題です。

しかし、フリッチャイの演奏のスケール感、とくに第2楽章のただもう寂寞としか言えない中間部の木管群・薄暮に沈んでいくような終わり方や、第4楽章の堂々たる音の世界がどのようなものになるのかという想像の一助になればと思います。
冒頭で「楽しい曲」と書きましたが、この演奏を聴いてからはそのイメージがかなり変わってしまいました。

フリッチャイ(Ferenc Fricsay, 1914-1963)という指揮者は実はこれまで聴いたことがなく、今回初めて触れました。
1958年に白血病を得る前後では大きく演奏スタイルが異なり、その後ではこの録音のような壮大な指揮に変化していったようです。「フルトヴェングラーを連想させる」と評論家の方が言ったというのもうなずけます(信越線住民さんのブログより)。

フリッチャイの指揮活動が1961年で終わりを告げてしまったのはとても残念ですが、この録音を残してくれたこと、この演奏に触れられたことは幸運だったと思います。
他にベートーヴェンの交響曲の録音も残されているようなので、またの楽しみにしたいと思います。


ドヴォルザークが生きた街、プラハの日の出。

by カエレバ

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